飼育観察 採集〜飼育するなら繁殖(累代飼育)に挑戦することが、その生態を知る一番の近道 |
オオルリオサムシ Damaster gehinii |
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日本固有種で、北海道のみに生息。 北海道が世界に誇れる美麗種で人気が高い。 主にカタツムリ食なので、飼育法は同じカタツムリ食であるアイヌキンオサムシ、エゾマイマイカブリにも適用できる。 生態の詳細はこちら↓ オオルリオサムシ オシマルリオサムシ アイヌキンオサムシ エゾマイマイカブリ オサムシ類は数年生きるといわれているが、交尾〜産卵を行った個体はまもなく死ぬものが多い。 オオルリオサムシの寿命は越冬1回で1年と思われる。 |
◆採集 北海道の固有種で、やや局地的な分布だが平地〜山地にかけて比較的普通に生息しているオサムシ。 と言っても、山の中を闇雲に探しても見つかるものではない。 オサムシの主な採集法は以下の3つ。 PT(ピットフォールトラップ) プラスチック製コップを生息地に埋めて、落ちるものを採集する方法。 食酢や希釈した酢酸を入れて誘導させると効果的。カップ側面には雨水で溢れてしまわないように数ヶ所穴を開けておく。 長所は、設置場所と設置数によるが、効率よく採集できること。 短所は、設置日と回収日で少なくても2回現地へ行かなくてはいけない事と、誘引された目的でない生き物まで殺してしまうこと。 注:仕掛けたカップは成果の有無に関係なく必ず回収する事。 オサ掘り 山道脇の斜面や林内の土盛りなどで越冬しているオサムシを掘り返して採集する方法。 北海道では雪の少ない地方(太平洋側)か、雪が積もる前の晩秋か雪の融けた早春に限られる。 慣れていないと、採集場所の予測がなかなか難しい。 寒い中での作業で、労力の割には効率が悪く、作業中に個体を傷つけてしまうことも多い。 広範囲に掘り返すので、関係のない越冬中の生物まで掘り返してしまう。 側溝探し 側溝内に入り込んだオサムシを採集する方法。 オサムシは側溝内を自由に出入りできるため、1日ごとに結果が変わる。 長所は、簡単であるため初心者でもできる。環境に影響を与えない。 短所は、多く採集できないこと。先に採集者がいた場合は絶望的。その日の天候に左右される。 ※ 3つの方法とも時期・場所の見極めが必要だが、経験を積み要領が分かれば採集効率は上がる。 ◆飼育環境
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◆飼育記録 | |
<オオルリオサムシの交尾> 雌雄を一緒にすると間もなく交尾を始める。 |
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<オオルリオサムシの卵> 楕円形で4mmほどの大きさ。 色は白色。 雌は地面に穴を掘り卵室を作り、そこに産卵する。 |
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<オオルリオサムシの幼虫> 孵化間もない幼虫。大きさは8mmほど。 孵化直後の色は白い。 幼虫は孵化後、すぐにカタツムリを食べ始め、成長は早く、カタツムリを食べた幼虫は2倍ほどに大きくなる。 体型はマイマイカブリの幼虫に酷似している。 |
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25mmほどに成長した終令幼虫。 孵化率は高いが幼虫の生存率は低い。 原因として幼虫同士の共食いがあるが、カタツムリの殻の中で死んでいるものも数匹あった。 対策として幼虫は単独飼育するのが望ましい。 蛹化までに必要な餌となるカタツムリは、1匹当たり3〜4匹程度と意外に少ない。 終令幼虫になり、気温が低くなると幼虫は土の中に潜り越冬休眠に入る。 |
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<オオルリオサムシの蛹> 春、暖かくなり越冬休眠を終えると蛹化する。 飼育下では幼虫が土中に潜り込んで3ヶ月以上経過してから蛹化した。 蛹の全体は乳白色で眼の部分のみ黒色。 羽化が近づくと、頭部付近が黒くなっていく。 約10日ほどで羽化する。 エゾマイマイカブリは蛹化率が高いが、オオルリオサムシは低い。 土質・温度・湿度などの飼育環境が影響していると思われるが、よく分からない。 |
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<オオルリオサムシ新成虫> 羽化直後は、乳白色をしている。 |
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<飼育個体新成虫> 羽化後しばらくすると、体は硬くなり、体色が現われてくる。 飼育下では不完全な羽化も多い。 |