北海道生物図鑑
管理人が自然探索の際に出会った北海道の生き物の生態写真を図鑑的な写真集としてまとめております。

キタアカシジミ
Japonica onoi onoi

シジミチョウ科 ミドリシジミ亜科
分布
北海道・本州(東北地方・中国地方)
開張 34〜35mm
環境省レッドリスト 北日本亜種は絶滅危惧II類(VU) 冠高原亜種は絶滅危惧IA類(CR)
北海道RDB 留意種 (N )
備考
撮影日
2010/7/8
撮影または採集地 小樽市

<特徴・生態>
平地のカシワ林に生息。
別名「カシワアカシジミ」で1990年に日本で25番目に発見されたゼフィルス(ミドリシジミの仲間)

アカシジミと同じく、体色は黄橙色で、前翅の表面外縁部に黒色斑紋があり、裏面には白色の線と外縁に橙色の斑紋が並ぶ。
アカシジミと比べ、本種の方が大型で裏面の色調がうすくなることから区別できるが、大きさや色彩に個体差があるため慣れないと区別は容易でない。特に混生する産地では要注意。

成虫は6〜7月に発生し、主に夕刻に活動する。
卵はアカシジミと異なり、若い枝に隠されるように卵塊で産み付けられる。形は饅頭型。
幼虫は緑色で気門部は赤色となるのが特徴で、カシワの葉を食べ成長する。


写真は、カシワの枝を叩いて飛び出してきた個体を撮影。
早朝であったため活性が鈍く、飛んでも直ぐに近くの枝に止まったり、下草の方へ降りてくる個体が多かった。
この産地(カシワ林)では、他のシジミチョウ類に比べ個体数は多い方ではないが、翅が黄橙色のため見間違える事もなく、一番目立つ存在であった。


撮影日:2010/7/8
撮影場所:小樽市


表面


裏面
同じ産地でも大きさや色彩に個体差がある。



卵はカシワの毛などで隠されるため探すのが難しい。
写真の卵は5つの卵塊だが、5つ目は完全に隠されている。
撮影日:2011/2/16
撮影場所:小樽市



撮影日:2011/4/11
撮影場所:小樽市



撮影日:2011/2/16
撮影場所:小樽市



撮影日:2011/2/16
撮影場所:小樽市



撮影日:2011/4/11
撮影場所:小樽市


(確認できるだけでも12個産み付けてある)
撮影日:2012/3/30
撮影場所:小樽市

<越冬卵について>
探索難易度 ★★★★★
魅力度 ★★
卵の特徴 白色で饅頭型。突起はなく、表面には細かな穴が点在する。
食樹 カシワ
高さ 中位置〜高位置
産卵場所 一年生枝に1個〜複数を重ねるように産み付け、カシワの毛などで隠す。
毛深くふさふさしている枝を好む。
備考 アカシジミと異なり卵塊で産み付けるが、単体もある。(2個が多い。)
一年生枝に産卵するが、冬芽付け根や枝の途中など場所は特定しない。
また、卵は隠されるため発見が難しいので、一年生枝の表面を全体的に注意深く探さないと見落とす可能性大。




<幼虫〜蛹>
(室内飼育下なので蛹化までの期間は野外の個体と異なる。)

孵化直前


初齢幼虫
体色は濃赤色


体長2mm


13日後
緑色を帯びてきた。


体長11mm
全体的に黄緑色となる。
背中には赤色の線があり、側縁部は白い。


気門以外に側面の一部が線状に赤い幼虫

体長15mm
気門部が赤色となるのがキタアカシジミの特徴。


20日後(体長20mm)
終齢幼虫となる。

22日後
前蛹になる。
蛹化はカシワの葉上または枝上で行う。


前蛹
足場は糸でしっかりと固定している。

23日後(蛹化直後)
透明感のある鮮やかな淡緑色


蛹(蛹化直後)

羽化直前(蛹化から11日後)

羽化(蛹化から12日後)

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