北海道生物図鑑
管理人が自然探索の際に出会った北海道の生き物の生態写真を図鑑的な写真集としてまとめております。

ゲンゴロウ
Cybister japonicus
ゲンゴロウ科
分布
北海道・本州・四国・九州
体長 34〜42mm
環境省レッドリスト 絶滅危惧II類(VU)
北海道RDB 希少種 (R )
備考
撮影日
2010/5/21
撮影または採集地 苫小牧市

<特徴・生態>
平地の水生植物が豊富に生える湖沼、湿地に生息。
ゲンゴロウの仲間では最大級。
体色は背面は黒色で、側縁は黄褐色で縁取られる。
脚と腹面は黄褐色。
北海道には他の大型種でゲンゴロウモドキやキタゲンゴロウモドキが分布するが、本種の体型は大きく幅が広がるので区別できる。

幼虫・成虫共に肉食で、水生昆虫や弱った小魚、オタマジャクシなどを捕食する。
夜行性で、灯火にも飛来する。
ゲンゴロウ類はつかまえると悪臭のする白い液を首筋付近から分泌するが、本種は大型種であるため臭いも強い。

近年、開発などで生息地が著しく減少している。

本種の和名は、他のゲンゴロウ類のことを指すのか紛らわしいため、ナミゲン、タダゲン、オオゲンなどと区別して呼ぶことがある。


左:♂ 右:♀


雄の背面が滑らかなのに対して、雌の背面は細かい縦じわで覆われる。これは交尾の際、雄が雌につかまりやすくするものと考えられている。
撮影日:2010/5/21
撮影場所:苫小牧市


雄の裏面
手に乗せると重量感があり、飛び跳ねる力も強い。
撮影日:2010/5/21
撮影場所:苫小牧市


雄の「ふ節」表面

雄の「ふ節」裏面
雄の前脚の第1〜3「ふ節」は一部が扁平に拡大して下面にいくつかの吸盤を持つ。
交尾に際、雌の背面に吸着することで、滑って離れないようにできる。


雌の前脚
雄に比べると普通。


雌の頭部正面

雄の腹面


雌の腹面

交尾中
撮影日:2012/5/23
撮影場所:苫小牧市


交尾中


トラップに集まってきた個体を網で採集
撮影日:2010/5/21
撮影場所:苫小牧市


トラップでの採集(回収後)
撮影日:2010/5/21
撮影場所:苫小牧市


網で採集した♀
撮影日:2010/6/30
撮影場所:苫小牧市


オオルリボシヤンマの尾にかじり付いている幼虫。
麻酔毒と消化液を注入され、大きなヤンマも麻痺して動く事ができなくなっている。
撮影日:2010/8/26
撮影場所:苫小牧市



「甲羅干し」
ゲンゴロウは、体温調節・殺菌・飛翔の準備などのため、よく水からあがって「甲羅干し」をする。
飼育下でこの行動を阻害すると、ミズカビ類などの水生菌による感染症を起こしやすくなり衰弱してしまう。
「甲羅干し」中は、独特の臭い出す。
生息地でこの臭いがすると、近くにゲンゴロウがいるという目安になる。



ゲンゴロウの生息地

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