北海道生物図鑑
管理人が自然探索の際に出会った北海道の生き物の生態写真を図鑑的な写真集としてまとめております。

ダイコクコガネ
Copris ochus
コガネムシ科
分布
北海道・本州・四国・九州
体長 18〜28mm
環境省レッドリスト 絶滅危惧U類(VU)
北海道RDB 希少種(R)
備考
撮影日
2011/7/22
撮影または採集地 むかわ町

<特徴・生態>
平地〜山地の放牧地などの草原に生息。
北海道では、牛やエゾシカなど草食動物の糞に集まる。
日本に分布する糞虫の仲間では最大種。

体色は全身黒色で鈍い光沢がある。触角は黄褐色。
雄には後方へ湾曲した1本の角状突起があるのが特徴。(体長により角は変異あり)
また雄の前胸背板は前角が裁断状で角ばる。
雌の頭部には板状の横隆起があり、前胸背板には弧状に突出した横隆条がある。
上翅には条溝があり、間隔は広い。
腹面には、黄褐色の短毛が密生している。

糞の横に深い穴を掘り、そこに糞を運びこんで糞球(育児球)を作り、その中に産卵する。
幼虫はその糞球を食べて成長する。

夜行性で灯火にも飛来する。


大型の雄はとても魅力的だが、なかなかお目にかかれない。


巣穴の中にいた雌



上翅の付け根にある小楯板が他の甲虫と違い確認できないのが特徴。


大型♂


中型♂

小型♂

極小型♂
前胸背板の前角がほとんどない。





大型♂
頭部は半円形で、愛嬌のある顔立ちをしています。


極小型♂
なんとか角が確認できる程度。


雌の頭部には2つの瘤状突起がある。







糞の横に土盛りがあれば、その下に巣穴がある可能性が高い。


土盛りを除くと現われた巣穴。
巣穴の大きさは大人の親指が入る程度。
採集の際は、いきなりスコップで掘ると、穴を見失ったり、中にいる個体を傷つけてしまうので、穴に指を入れながら周りの土を徐々に慎重に取り除いていく。
15〜30cmほど掘り、指先に硬い感触があれば、ダイコクコガネの場所に辿り着いた事になる。
大体雌雄どちらかが入っているが、運が良ければペアで入っていることもある。
8月中旬くらいからオオセンチコガネ(新成虫)が発生し、同じような巣穴を作るので紛らわしくなる。
※ 掘った場所は、必ず埋め戻しておくこと。

巣穴の断面図

巣穴
地面の入口からやや垂直に15〜30cmほど掘られ(穴の大きさは百円硬貨ほど)、その先は穴がL字に曲がり、地面に平行気味に部屋状の空間が20cmほど続く。
この空間は幅が5cm程で、糞球を作成し収納できる「工場&保管庫」となっている。

土盛りで穴の入口は塞がれるので、雨などの影響はないかと思われたが、雨天後調べてみると水没してしまった穴や作成途中で放棄してしまった穴も多かった。


作られた糞球


卵は長径7mmほど
体長の割りにかなり大きな卵を産卵する。


孵化直後の幼虫

孵化から20日後(飼育下)

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