北海道生物図鑑 管理人が自然探索の際に出会った北海道の生き物の生態写真を図鑑的な写真集としてまとめております。 |
Parunassius stubbendorfii hoenei アゲハチョウ科 |
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<特徴・生態> 平地〜山地の明るい林内や林間の草原に生息。 国内では北海道のみ分布。 翅はやや透き通っており、体は毛深い。 幼虫の食草は、エゾエンゴサク。 シロチョウの名があり、それに似るが、実はアゲハチョウの仲間。 ウスバシロチョウの仲間は氷河期に大陸から渡ってきたといわれている。 仲間に「ウスバシロチョウ(北海道・本州・四国)」「ヒメウスバシロチョウ(北海道)」「ウスバキチョウ(大雪山)」の3種類がいる。 ♂ 雄の腹部は毛で覆われる。 ウスバシロチョウに似るが、ウスバキチョウは翅がやや黄色みを帯び、本種はやや灰色みを帯びる。 ♀ この個体は、胸部と腹部側面の毛が黄色になっている。 ウスバシロチョウは胸部(首周り)と腹部側面の毛が黄色で、ヒメウスバシロチョウは灰色がかることで区別できるらしいが、本種の雌では写真のように胸部と腹部側面の毛が黄色みを帯びた個体も存在しており、とても紛らわしい。 交尾した雌は、腹部先端に硬い交尾板(受胎嚢)をつけている。これは雄が、交尾した雌が他の雄と交尾できないようにするために、自分の粘液で作った殻を雌の腹部先端につけるもの。 北海道の一部ではウスバシロチョウと混生し、雑種が発生しているところもあるらしい。 |
♂表側 札幌市産 |
♀表側 札幌市産 札幌圏内に分布する雌は、翅が黒化する個体が多い。 |
撮影日:2008/6/3 撮影場所:札幌市 |
撮影日:2008/6/3 撮影場所:札幌市 |
若齢幼虫 撮影日:2010/5/23 撮影場所:札幌市 |
終齢幼虫 撮影日:2010/5/23 撮影場所:札幌市 |
幼虫はエゾエンゴサクの葉を食べるが、食事の時以外は食草付近の地面(落ち葉や枯れ草上)に潜んでいるいることが多い。 幼虫を探すコツは、食痕のある葉の周りにある地面を注意深く探してみること。 幼虫の体色は地味で、蛾の幼虫に似ている。しかも落ち葉や枯れ草上にいると保護色となり見つけづらい。 撮影日:2010/5/23 撮影場所:札幌市 |
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幼虫の食痕(エゾエンゴサクの葉) 食痕は一つの葉を少しかじる程度。 |
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アゲハチョウの幼虫と同様、刺激すると頭部から小さい臭角を出す。 撮影日:2010/5/23 撮影場所:札幌市 |
前蛹 他のアゲハチョウ類とは異なり、繭を作る。 繭の質は簡素で、薄く透けているので、軟らかく破けやすい。 繭を保護するものというより、丸まった落葉の内側で固定し空間を維持する役割があるようにみえる。 |
蛹 蛹は糸で体を支える帯蛹である。 |
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羽化間近の蛹 翅の部分が透けて、翅脈が確認できる。 蛹は時間が経過すると次第に黒くなる。 |
羽化直後の新成虫 蛹から出ると、翅を伸ばすため、直ぐに草木などの垂直面に移動する。 |