ガロアムシについて 分布 生息環境 生態(生活史) 生態(産卵〜孵化)
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他種との比較 地域各種 - 標本・情報募集 更新履歴

北海道産ガロアムシの地域各種

北海道産ガロアムシは現在、「石狩山地産のエゾガロアムシ」「夕張山地産のオナガエゾガロアムシ」「日高山脈産のオオエゾガロアムシ」「北見山地及び天塩山地産」の4つのグループに分けられ(2022)、それぞれ形態に特徴がみられる。
例外もあり、今後の調査で、特徴などの内容に変更がある可能性があります。
各山地は他の山地と一部繋がっているため、どの地点から種が変わるかは不明。移行帯の存在や混生または棲み分けも考えられる。

石狩山地  エゾガロアムシ Arctigalloisiana yezoensis
北海道中央部に位置し、火山が多い。
旭岳・黒岳・石狩岳・三国山・十勝岳・富良野岳・トムラウシ山など高標高の山々が多い。
生息地の地質:軽石や凝灰岩の脆い礫層や火山灰層

※ かつてのエゾガロアムシGalloisiana yezoensisを2022年に学名変更

東川町産♂

上川町産♂

東川町産♀

上川町産♀

陸別町産♀
<特徴>
体長は小型で、産地によって15〜17mm(西側)、17〜20mm(東側)とばらつきがある。
特に雄の体長は小型。
尾毛(尾肢)の節数は8〜9節。
※ 尾毛(尾肢)基部の亜分節を1節として数える説もあるが、ここでは2節として扱っております。

尾毛第1節と第2節を分ける関節部は不完全で、1節とするか2節にするかについては見解が分かれ、今後解決すべき問題。
上の写真も第1節中央に不完全で弱いくびれとその両側に剛毛があるので2節に分けるのか悩みどころ。


北見山地  未記載種 Arctigalloisiana sp.A
北海道の北東部に位置し、南北に長く走る。
北部へ行くにつれ標高が低くなり、南部は石狩山地と接する。
天塩岳・渚滑岳・チトカニウシ山・函岳・ピヤシリ山など。
生息地の地質:硬い変成岩を主とする岩石帯、粘土層

士別市産♀
<特徴>
体長は17〜19mmで、やや小型傾向。石狩山地東側に接しているためか傾向が似ている。
尾毛(尾肢)の節数は8〜9節。
※ 尾毛(尾肢)基部の亜分節を1節として数える説もあるが、ここでは2節として扱っております。



天塩山地  未記載種 Arctigalloisiana sp.A
北海道の北西部に位置する。
天塩川を挟んで西側が天塩山地、東側が北見山地となる。
平均標高が500〜600mと低い。
ピッシリ山・三頭山など。
生息地の地質:硬い変成岩を主とする岩石帯、丸くて大きな石が堆積した隙間に砂を多く含む粘土が詰まっており、適した生息環境が少ない。

音威子府村♀

幌加内町♀
<特徴>
体長は18〜20mm。やや小型傾向で北見山地産と似ている。
尾毛(尾肢)の節数は8〜9節。
※ 尾毛(尾肢)基部の亜分節を1節として数える説もあるが、ここでは2節として扱っております。



夕張山地  オナガエゾガロアムシ Arctigalloisiana yubariensis
北海道の中央南部に位置する。
芦別岳・夕張岳など。
生息地の地質:泥岩や砂岩などの礫層(一部石炭を含む)、粘土層

芦別市♂

夕張市♂

厚真町♂

厚真町♀

厚真町♀

奈井江町♀
<特徴>
体長は18〜22mmであるが、大部分は19〜20mmで全体的にばらつきは少ない。
尾毛(尾肢)の節数は9節。
※ 尾毛(尾肢)基部の亜分節を1節として数える説もあるが、ここでは2節として扱っております。
雌の産卵器(産卵管)が他産地より長い傾向にあるのが最大の特徴。



夕張山地産

日高山脈産

石狩山地産

北見山地産

天塩山地産


日高山脈  オオエゾガロアムシ Arctigalloisiana poropnetopa
北海道の中央南部を南北に貫く。
戸蔦別岳・幌尻岳・ペテガリ岳・楽古岳・アポイ岳など。
生息地の地質:硬い変成岩を主とする岩石帯、粘土層

日高町産♀

浦河町産♀

平取町産♀
<特徴>
体長は23〜25mmと大型。約20mmの産地もある。
尾毛(尾肢)の節数は9節。
※ 尾毛(尾肢)基部の亜分節を1節として数える説もあるが、ここでは2節として扱っております。





<産地別の体長比較>

左から日高山脈、夕張山地、石狩山地



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