ガロアムシについて 分布 生息環境 生態(生活史) 生態(産卵〜孵化)
形態 採集法 飼育 引用文献
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北海道産ガロアムシの生態(生活史)


約2mm
初齢幼虫
約3mm
若齢幼虫
約5mm
中齢幼虫
約13mm
終齢幼虫
約20mm
成虫(♀)
約20mm
※ 1目盛=2mm

ガロアムシの仲間は幼虫期間が長く、成虫になるまで数年(5〜7年)掛かるといわれている。
不完全変態で脱皮を繰り返し成長する。

孵化直後の初齢幼虫の体長は約3mm。
若齢幼虫の体色は透明感のある白色で、中齢幼虫から体色がやや赤褐色を帯びる。
若齢幼虫のような白色の個体もいるが、日が経過すると徐々に赤褐色を帯びてくるため、白色の幼虫は脱皮直後と推測する。
初齢幼虫の尾毛(尾肢)節は2節で、脱皮ごとに1節ずつ増え、終齢では8節、成虫では9節となる。

成虫になると全体的に飴色(赤橙色)となり、雌は産卵器が発生する。
コオロギやキリギリスの雌は、幼虫時期でも小さな産卵器が付いているため雌雄の判別が容易だが、ガロアムシの幼虫では外見で判断ができない。

※ このページに記されている体長は夕張山地産(オナガエゾガロアムシ)を基準としております。
※ 尾毛(尾肢)基部の亜分節を1節として数える説もあるが、ここでは2節として扱っております。

<卵>

卵は黒色。
長卵形。長さは長径2mm・短径1mmほどで、成虫の体長に対して比較的大きな卵を産む。
殻は丈夫で、卵全体が硬く、容易に潰れないような構造になっている。
片側の先端部には凹みがある。
飼育下で産卵した卵は、やや歪なものが多かった。


<初齢幼虫>
初齢幼虫の体長は約3mmで、体型は成虫と大きな違いはない。
透明感のある白色。
体全体が軟らかくて弱々しく、あまり俊敏に動き回らない。
尾毛(尾肢)は短く、2節。
触角も短く、節は成虫と比べて少ない。(13〜15節くらいか?)


<若齢(2〜3齢)幼虫>
2齢幼虫
体長5mm
孵化から3ヶ月で、2齢へ成長した。(飼育下)
体長から若齢幼虫はシロアリに似ている。
触角は伸び、節の数も増える。(2齢は3節)
腹部が黒ずんでいるのは、食べた内容物の影響。

3齢幼虫

<中齢(4〜6齢)幼虫>

4齢幼虫

6齢幼虫
体長13mm
尾毛(尾肢)は伸び、節は7節に増加。
このくらいの大きさから、体色が褐色を帯びてくる。
撮影日:2009/10/23
場所:夕張市


<終齢幼虫>
体色は鮮明な白色、雌は産卵器が発生するが短い。
体長は成虫とほぼ変わらず。
野外では晩夏(8月中旬)からよく見られるようになる。
活発に動き回らず、同じ場所に留まっている事が多い。(餌は食べる)
この状態を1ヶ月ほど維持した後、最後の脱皮をし、体色が飴色と変化し成虫になる。
成虫になる過程で、不完全ではあるが尾毛(尾肢)は8節から9節に増え、雌の産卵器も伸び先端が鋭くなる。

終齢幼虫♂
撮影日:2009/9/4
場所:むかわ町


終齢幼虫♀
撮影日:2012/7/27
場所:士別市


終齢幼虫へ脱皮


♀の産卵器
産卵器は短く、柔らかい。



<上段:終齢幼虫 中段:脱皮直後の新成虫 下段:成虫>


<成虫>

成虫♂
撮影日:2009/8/31
場所:むかわ町


成虫♀
撮影日:2011/9/15
場所:夕張市


上:♂ 下:♀

体長は約20mmで、終齢幼虫より一回り大きくなる。
体色は飴色(赤橙色)となり、雌は産卵器が更に発達する。
尾毛(尾肢)は9節に増加。
雄の個体数は少なく、採集される成虫の大半は雌。
成虫の寿命は長く、雌が飼育下で1年半以上生きた。


<脱皮>
数年間という長い幼虫期で数回脱皮する。(脱皮回数は7回と推測)
石につかまり、頭部を下にしてずり落ちるように脱皮したと思われる。
脱皮殻は茶褐色で、薄くて脆い。
胸部(前胸背・中胸背・後胸背)が縦に裂けている。
撮影日:2012/3/12(飼育下)


新成虫へ脱皮した際の脱皮殻
矢印は産卵器部分
脱皮を終えると、幼虫の体色は透き通るような白色になり、触角や尾肢の節数が増加する。
次の脱皮が近づくと、体色が褐色を帯びてくる。



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