ガロアムシについて 分布 生息環境 生態(生活史) 生態(産卵〜孵化)
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ガロアムシについて

ガロアムシは、非翅目(ガロアムシ目)に属する昆虫群の一つ。
世界的に見て最も分布が特異で限られており、北アメリカ北西部、ロシア沿海州、朝鮮半島、日本などで北太平洋をとりまく形(北半球のみ)で分布している。
高地や洞窟など冷涼な気候の地域に生息することや分布から「氷河期の生き残り」ともいわれ、また原始的な昆虫で、中生代の地層から化石として見つかっているため「生きている化石」ともいわれている。
アメリカ大陸の個体はGrylloblatta属、ロシア沿海州の個体はGrylloblattina属、朝鮮半島はGalloisiana属とNamkungia属、日本の個体はGalloisiana属とArctigalloisiana属(北海道)に属する。

有翅昆虫に分類されているが、翅は完全に退化している。複眼も退化して小さいか無眼。
(ジュラ紀後期のガロアムシの祖先と思われる化石には4枚の翅がある)
不完全変態で成虫になるまで数年かかる。
幼虫・成虫ともに小昆虫などを食べる捕食性であるため顎が発達しているが、腐敗していなければ死骸も食べる。(共食いもする)

その形態からバッタ目、ハサミムシ目と類似する特徴を持っているため、直翅類(バッタ、カマキリ、ナナフシ、シロアリ、ゴキブリなど)の仲間に含まれているが、未だ解明されていない部分が多く、謎な昆虫でもある。
<直翅系昆虫の分類> Storozhenko(1997)
 @ゴキブリ上目:ゴキブリ目・シロアリ目・カマキリ目など
 Aカワゲラ上目:カワゲラ目・ガロアムシ目・ハサミムシ目など
 Bバッタ(直翅)上目:バッタ(直翅)目・ナナフシ目


日本では1915年にフランスの外交官ガロアが、中禅寺湖の湖畔で発見したのが初で、和名は彼の名が由来となっている。
現在日本には数種分布していることが分かっているが、混乱しており正確な分類が解明されていない。

北海道産ガロアムシは1959年(学名登録は1961年)に大雪山麓で見つかった個体をエゾガロアムシGalloisiana yezoensisとして記載。2022年には他の日本産ガロアムシとの遺伝的・形態の違いから新属Arctigalloisiana属に含め、更に2種を新種(オナガエゾガロアムシ・オオエゾガロアムシ)として記載されている。

和名 学名 分布 環境省RDB
エゾガロアムシ Arctigalloisiana yezoensis 北海道 -
オナガエゾガロアムシ Arctigalloisiana yubariensis 北海道 -
オオエゾガロアムシ Arctigalloisiana poropnetopa 北海道 -
ガロアムシ Galloisiana nipponensis
本州 -
オオガロアムシ Galloisiana kiyosawai 本州 -
ヒメガロアムシ Galloisiana yuasai 本州 -
クロガロアムシ(仮) Galloisiana sp.1 本州 -
メギシマガロアムシ Galloisiana chujoi 四国 -
イシイムシ Galloisiana notabilis 九州 絶滅危惧I類(CR+EN)
ガロアムシの一種 Galloisiana sp.2 対馬 -
※ クロガロアムシは埼玉県動物誌において仮称として記録。
※ メギシマガロアムシは、チュウジョウムシとも呼ばれている。
※ 対馬産の個体は、今後、九州産のイシイムシや朝鮮半島の個体との関連性を調べるなど更なる研究の必要がある。



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